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漫画『リアル』を読んで "笑いたきゃ笑え"

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何度か読んだ井上雄彦さんの漫画『リアル』

漫画だけでなく音楽や芸術品など、全ての作品・作り上げられたものに通ずることですが、読んだ時の心や精神状態の違いで感じるものが大きく違うのは、皆さんも経験したことがあるのでは無いでしょうか。

 

2周連続で僕の精神的なお話になりますが、漫画の感想だと思ってお付き合い頂けたらと思います。

 


 

リアルは車椅子バスケが主軸のお話。世間で言う障害者が、自分の持つマイナスのアイデンティティに負けず戦う姿と、その心模様を映す漫画と僕は解釈しています。

 

バイク事故により、当人は奇跡的に大怪我は負わなかったものの、とある女の子(山下夏美)に下半身不随の怪我を負わせてしまい、後悔や自責の念で自分の進むべき道を見失った野宮朋美(男です)

100m走という自分の生きがいを見つけたにも関わらず、骨肉腫を発症し片脚を失い、今も尚、転移の恐怖と戦いながら車椅子バスケの道を行く戸川清春

不真面目ではあったものの様々な才能に恵まれていたが、トラックに轢かれ脊椎損傷し下半身不随に。自分のプライドが打ち砕かれながらも一歩ずつ歩み出す高橋久信

まだまだ重要性の高い登場人物が山程いますが、一番重要なのはこの3人ですね。

 

かなり重たい話ではありますが、人の弱い部分や黒い部分までにもディープに触れ、それを乗り越える姿や、更なる挫折など。とにかく読み応えのある漫画だと思います。

思えばスラムダンク・バガボンドといい、井上さんの漫画では人の心情が色濃く描かれています。

それが、決して漫画の世界でしか起きない事ではなく、僕達の日常を映し取っているとまで感じられることが多々あります。

 

今回改めて読んだ『リアル』の中では、いくつかの「人の弱い部分」を感じ取りました。

それは紛れもなく、自分が今「自分自身の弱い部分」だと感じていることの現れだと思ったのです。

読んでいて自分に響いたシーンをいくつか取り上げてみようと思います。

 

今回のタイトルに"笑いたきゃ笑え"と言う言葉を書きました。

これは野宮のバイク事故によって半身不随になり、将来の希望を失った山下が、選択肢が狭まったことで気付けた自分のやりたいこと。漫画家になろうとしていることを野宮に告げた時のセリフです。

まぁ山下のセリフは厳密には"笑いたい奴は笑え"なんですけど、野宮は上記のように言い換えてました。

夢を追う。やりたい事をやる。そんな時にどうしても邪魔をするのは周囲の人間や常識。

そんな物に邪魔されるのはもったいないじゃないかと思わせてくれるセリフですね。

相変わらず自分のやりたいことが見つかってませんが、とても胸を打つ物でした。

 

そして野宮が一つ立ち直るシーン。戸川や山下が障害に向き合い進んでいく姿を見て、自分を変えようと進み始めるシーンなのですが、そこでもまた心に残る物がありまして。

幾度もバイトを転々としようやく就いた引越し業者。その従業員は覇気のないものばかり。仕事後の飲み会で、同僚でプロを目指すバンドマンから"お前は夢とかねぇのかよ"と言われた野宮は、

"偉いね 目指すもんがあって……
俺は何を目指すのかすらまだ見つかってねーや
でもだからこそ
今を生きることにした
おめーが踏みにじってる今を
今いる場所がつまんねー職場でも
俺の道には変わりはねぇ
俺のゴールにどうやってつながってるかは知らねえが
いつかつながることは確かだ"

本当に訳が分からなくなるくらい心に響きました。これを書きながら少し泣きそうになっているのはヒミツ。

自分は、夢もない上に、今を踏みにじってしまっていることに気付かされました。

目標がないことを言い訳にしてしまっては駄目なんです。やること・やるべき事をやらなければ。

それがいつか実を結ぶ。それがいつか、自分の夢の足がかりになる。いつかの自分につながること。

昨日の自分も今の自分も数十年後の自分もつながっています。忘れちゃいけないことだ。

 

最後にもう一つ。戸川が自分の境遇と向き合い、車椅子バスケを始めるきっかけを作った親友であるヤマという人物。

彼は筋ジストロフィーを患い、20歳になる頃にはこの世を去るということと向き合いながら生きていました。

戸川の"怖くはないのか"という問いに、こんなことを言います。

"戸川君 ジェットコースターに乗ったことある?
あれって実際乗ってる時間はほんの何分かでしょ?
だからってあれに乗ってる最中に
あと何分しかない
あと何秒で終わっちゃうって
そんなことばかり考えてたら
何のために乗ったのかわかんないよね
何のために生まれたかわかんないじゃん"

短い命と限り無い不自由を与えられた子供が、これ程までに強く生きられている。何も背負っていない僕は何をしているんだろうか。

 


はい。相変わらず自分語りを挟むとビックリするほど暗い雰囲気になりますね!!

また後日、改めて『オサダのすゝめ』で紹介したいと思います。

言い方は悪いですが、時間を奪っていた漫画というコンテンツが、時間の大切さなどを教えてくれるジレンマみたいなものがありますね。まぁ無駄な時間だとは欠片も思っていませんが!

障害者を題材とした漫画なんて、批判があって然るべきだろう。それでも井上さんはこの題材で漫画を作り上げた。

その中には登場人物達の、さらには現実世界の、そして僕自身の『リアル』が投影されていた。

 

自分の一歩は、今なのかもしれないな。

 

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オサダ

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