『希望が死んだ夜に』:あなたと僕が見ている世界

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こんにちは。
年明けからもう一ヶ月......いつ2020年の年末が来てもおかしくないのでは??
毎日が年末年始なら良いのに。年末大好きです。

 

今年二冊目は、『希望が死んだ夜に』です。
ふらっと入った本屋で、偶々手に取った一冊。当たりでした。心を揺さぶられた度で言うと、個人的に、ここ数年の間で上位に入りましたね。やっぱり、こういう出会いがあるから本屋って大好き。

今日の一冊

 

出版社:文春文庫
作者:天袮 涼

 

同級生の春日井のぞみを殺害した容疑で逮捕された、14歳の冬野ネガ。しかし、犯行は認めても動機だけは語らない。なぜ動機を話さないのか、春日井のぞみが死んだその時、何が起きたのか。その理由を捜査する先で浮かび上がる事実とは――。

同級生を殺害した容疑で逮捕された冬野ネガの取り調べから始まり、
『わかんないよ。あんたたちにはわかんない。なにがわかんないのかも、わかんない』
という一言で、物語が動き出す。

読んだ感想としては、このネガの言葉が、『希望が死んだ夜に』の一つの軸になっているような気がした。僕らには、他人の心の中なんて理解できないし、二人の間に何が合ったのか、どんな繋がりをしていたのかなんて分からない。些細な一言がとても大切で、何気ない動作に傷つけられる。それが何なのかを、当事者ではない僕らは、いつも勝手に推測しては、的はずれなことを言い続けているのだろう。理解しているような顔をして、自分だけは違うというような顔をして――。

そして、もう一つの軸が『貧困』。貧しいネガと、お金持ちの春日井のぞみ。対極的な二人の姿が鮮明に描かれ、事件のきっかけにもなる。『貧困』が悪いのか、貧困を生み出す『社会』が悪いのか、目を向けず理解しようとしない『周囲』が悪いのか。誰が、何が、彼女を殺したのか分からなくなる。ページを捲るたびに、『分からない』僕たちの前に新しい世界の輪郭が浮かび上がってくる。

その先に行き着く真実は、優しくて寂しくて悲しくて――。

中学生の繊細な心の揺れ動きと、夜風のような爽やかな友情。
一言では表すことの出来ない、多くの魅力が詰まった小説。

『希望が死んだ夜に』
「希」から名前を付けられたネガ。
同じ「希」の名前を持つのぞみ。
もしかしたら、ネガが「希」ならのぞみは「望」なのかもしれないと感じた。
死んだ「希望」とは、やはり僕たちには分からない。

それでも、「生きてほしい」という呪いにも似た願いは、いつか希望になるのかもしれない。
命よりも大切なものが「希望」なら......どんな状況でも前を向かせてくれる希望だけは、手放してはいけないのだろう。

 

希望がないと叫ぶ誰かがいるこの世界は、不平等で残酷だ。

それではまた次回。またね。

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スドー

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読書と料理が趣味、ゲームが生き甲斐の村人S。

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